研究概要 |
4CPを粉末の基剤とし,硬化液にユ-ジノールまたはオレイン酸を用いた根管充填材用セメントを試作した.そして,その理工学的性質を検討し,根管充填材としての有効性をイヌを用いた実験系で調べ以下の結果を得た. 1.試作根管充填材を根管充填材のISO規格に準じたフロー,操作時間,硬化時間,被膜厚さ,放射線不透過性,溶解度および崩壊度の6項目について試験したところ,いずれも規格を満たしており,対照に用いたZOEと同様,理工学的には根管充填材として望ましい性質を有していた. 2.試作根管充填材のpHは,ZOEと同様に練和開始後すぐは中性付近であったが,時間がたつにつれて上昇しアルカリ性を示した. 3.4CPを基剤とし,硬化液にオレイン酸あるいはユ-ジノールを用いた根管充填用セメントCPO,CPEを試作し,イヌの歯牙に過剰に根管充填することにより根尖周囲組織の反応について検討した.その結果,いずれのセメントも根尖に漏出したセメント周囲には8週以降に硬組織が形成された標本が認められ,線維性結合組織によって被包化された標本は1例も認められなかった.また,CPE群では,歯根のセメント質,象牙質および周囲の歯槽骨に高度な吸収を引き起こす症例が認められたのに対して,CPO群でこれらの硬組織の吸収が認められたものはほとんどなかった. このことはCPOが生体親和性に富んだ極めて優れた根管充填材として利用できる可能性があることを示している.
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