研究概要 |
C-MYCは種々のタンパク質と複合体形成して、細胞増殖、分化、アポト-トス、癌化など多様な機能を有すると考えられる。そこで、申請者はC-MYC結合タンパク質と複合体形成するタンパク質因子群を同定し、未知のものはcDNAクローニングし、その機能解析を行った。 1) MSSP MSSPはc-myc遺伝子上のDNA複製開始/転写エンハンサーに結合するタンパク質としてcDNAクローニングされた。両者はMSSPのC末、C-MYCのN末で結合する。MSSPがDNA複製因子として機能することは既に報告した。MSSPは転写因子としてその結合配列特異的に転写促進し、C-MYCの転写能と拮抗的に作用した。また、MSSP-2はMSSP-1にスプライシングの違いにより16アミノ酸が付加されたものであるが、この16アミノ酸がタンパク質を細胞質に維持、あるいは核から細胞質に移行させるシグナルであることが判明した。 2) AMY-1酵母のTwo hybrid systemにより、C-MYC結合タンパク質として新規タンパク質cDNAを2種クローニングした。解析の進んだAMY-1 (Associated protein of MYC)は核膜に存在するタンパク質で、そのC末とC-MYCN末で結合した。AMY-1は骨格筋強く発現している。また、C-MYCに結合することで、C-MYCの転写能を促進した。 3) Pim-1 Pim-1はc-mycと協調的癌化が知られている癌遺伝子であい、セリン、スレオニキナーゼをコードする。Pim-1からc-mycまでのシグナル伝達をつなげるべく、Two hybrid systemによりPim-1結合タンパク質cDNAをクローニングし、PAP-1 (Pim-accocated protein)を得た。3者の相互関係を検討したところ、Pim-1-C-MYC, Pim-1-PAP-1は相互に結合するが、PAP-1-C-MYCは結合しなかった。PAP-1は核膜タンパク質であるので、Pim-1はPAP-1にリクルートされ核膜まで運ばれ、その後C-MYCに引き渡される可能性が高い。 4) DNA polymerase α, cdk2 更に、MSSP, C, MYCとも細胞周期G1/S制御の中心的役割を有するcdk2,及びDNA複製酵素であるDNA polymeraqse α, 180K catalytic subunitに結合し、そのpolymerase activityを促進することが判明した。これららは、C-MYC, MSSPが細胞周期のG1/S,とりわけS期開始(DNA合成開始)を司っている可能性が極めて高いことを意味している。
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