研究分担者 |
吉野 節子 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 助手 (80269779)
藤田 淳子 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 助手 (00259433)
当目 雅代 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 助手 (20259435)
堀井 たづ子 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 講師 (40259429)
木村 みさか 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 教授 (90150573)
滝下 幸栄 京都府立医科大学, 医療技術短期大学部, 助手 (10259434)
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研究概要 |
本研究は,固定装具装着患者に対する移動動作時の安全な援助への手がかりを得ることを目的に,移動動作の不安定さを1)患者での実態調査,2)健康女性を対象とした運動学的研究および3)患者での運動学的研究(ケーススタディ)で検討した.運動学的研究での移動動作はしゃがみ立ち動作を選び,動作解析(三次元動作解析装置)と表面筋電図(積分筋電図,IEMG)を用いて解析した.装具は,ヘイローベスト,フィラデルフィアカラーおよびフレームコルセットを用いた. 1)実態調査では,ヘイローベスト装着患者は,移動動作時に不安定になりやすく,手すりを把持して移動していた. 2)健康女性を対象とした運動学的研究では,ヘイローベスト,フィラデルフィアカラー装着において左右方向の重心の変位が非装着より有意に大きいが,垂直・前後方向では差異がなかった.しかし,フレームコルセット装着では,前後方向の重心の変位が非装着より有意に大きく,垂直・左右方向は差異がなかった.左右の膝関節の最大屈曲は,非装着より装具装着や装着手すり把持の場合に大きかった.一方,大腿筋群のIEMGでは,非装着より頸椎・腰椎装具装着時に減少し,その筋活動は低下した. 3)ケーススタディでは,頸椎や腰椎の装具装着患者は左右方向に重心の変位が大きくなり,前後・垂直方向に小さくなった. 以上から,頸椎・腰椎の装具を装着すると体幹が固定されるため,非装着のように大腿筋群を使用したしゃがみ立ち動作ができず,より不安定な状態になるため,移動時には重心の変位を伴ってバランスをとっていることが明らかになった.実際の患者の場合は,手術後で慎重に動作を行うため,垂直・前後方向への重心の変位が小さくなっていた.今後は,対象数を増やすとともに新装具による影響や他の移動動作についても検討していきたい.
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