研究課題/領域番号 |
06454641
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
法村 俊之 産業医科大学, 医学部, 教授 (20039530)
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研究分担者 |
今田 肇 産業医科大学, 医学部, 助手 (50223326)
権藤 洋一 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (40225678)
野元 諭 産業医科大学, 医学部, 助手 (90258608)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,500千円 (直接経費: 5,500千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | p53遺伝子 / 奇形 / アポトーシス / 放射線 / 子宮内被曝 / 胎児死亡 / p53ノックアウトマウス / 催奇性傷害 / 催奇性障害 |
研究概要 |
動物モデルにおいて、発生初期の胚は、催奇性傷害に対して強力な防御機構を備えていることが示されているが、その実体が解け始めた。DNA損傷修復に深く関与している癌抑制遺伝子p53は、概念的には、変異を持つ遺伝子を娘細胞へ伝達させないように、遺伝情報の損傷を見張る“番人"としての働きが考えられている。奇形発生の防御に、p53遺伝子がどの程度重要な役割を果たしているのかを知る有効な方法は、p53遺伝子を欠如したマウスを用いて解析することである。 p53欠損マウス(p53^<-1->)の胚(胎齢3.5日)は、普通マウス(p53^<+1+>)胚に比し、放射線抵抗性である。しかし、2GyのX線被曝後、生まれてきたp53^<-1->マウスには、80%以上の高頻度で奇形が生じる。一方、p53^<+1+>マウスは放射線致死感受性であるが、生存胎仔には奇形はみられない。主要器官形成期(胎齢9.5日)に被曝した場合も同様の傾向を示し、p53遺伝子機能の有無により、放射線致死感受性と催奇感受性とは、相反関係を示す(但し、1Gyの被曝までは、胎仔死亡、奇形ともに増加しない)。 普通マウスの初期胚には、正常に生まれるか、死かに弁別する、きわめて優れた傷つき細胞の除去機構が備わっている。事実、p53^<+1+>マウスの胎仔組織では、X線照射後にアポトーシス細胞の激増が観察されるが、p53^<-1->マウスでは、2GyのX線照射によってもアポトーシス細胞は増加しない。 胎児は、重要な奇形抑制遺伝子でもあるp53がうまく機能する限り、放射線などに少し曝されたくらいでは、危険が及ばないように優れた防御機構を備えており、その主役は、p53依存的アポトーシスによって催奇性損傷細胞を除去し、その穴を正常な細胞が増えて埋める“細胞交代修復"によるものと考えられる。
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