研究課題/領域番号 |
06454674
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 岡崎国立共同研究機構 |
研究代表者 |
八木 健 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助手 (10241241)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1995年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1994年度: 2,700千円 (直接経費: 2,700千円)
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キーワード | ジーンターゲティング / 情動 / 学習 / Fyn / RNA結合タンパク質 / NMDAレセプター / ジーントラップ法 / 聴覚性痙攣発作 / ピューロマイシン / 行動 / ターゲティング / チロシンキナーゼ |
研究概要 |
動物の行動様式は環境により可変的であるが、遺伝的に異なる動物種、個体間で違いがあることより、遺伝的因子により制御されていることが想定されている。本研究では遺伝子ターゲティング法を用いた遺伝子変換マウスを作製することにより行動制御を司る遺伝子の同定を行い、その分子メカニズムを解明することを目的とする。本研究は、1)遺伝子ターゲティング法により得られたFyn欠損マウスの行動学的解析、2)マウス脳神経系におけるFyn関連分子の同定とその解析、3)新たな脳神経機能関連分子の遺伝子欠損マウスの作製とその解析から成り立っている。Fyn欠損マウスの行動学的解析のでは、Fyn欠損マウスにおける聴覚性痙攣発作の亢進、モリス水迷路学習での学習障害、恐怖反応の亢進が明らかとなった。また、Fyn欠損マウス行動異常の分子レベルでの解析として、種々の痙攣誘発剤の痙攣感受性について解析を行ったところ、Fyn欠損マウスではメトラゾール、ピクロトキシン、ビキュキュリン、カイニン酸、NMDAでの痙攣感受性の亢進が観察された。これらの結果は、Fynがグルタミン酸やGABAに関連した神経伝達形成への関与を示唆する。次に脳神経細胞中でのFyn結合分子解析を行った結果、既知分子であるhnRNPK、SON、tctex-1と2種類の未知分子の単離に成功した。その1つはRNA結合タンパク質ファミリーに属する新たな分子であった。チロシンリン酸化酵素の下流シグナル伝達分子としてのRNA結合タンパク質は、細胞内のシグナルがRNAに作用する可能性を示唆するものとして興味深い。また、脳神経機能分子欠損マウス作製では、NMDA受容体ε1での海馬体CAl領域での長期増強の減少、モリス水迷路学習低下、ε2サブタイプでの哺乳反応の異常、神経投射異常、ε4サブタイプ欠損での自発的活動性の異常、グルタミン酸受容体δ2での小脳のシナプス形成異常、GABA合成酵素GAD65での痙攣誘発亢進が明らかとなった。本研究により哺乳類の脳機能、行動制御を分子レベルで解明する方向性がもたらされたのではないかと自負している。
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