研究課題/領域番号 |
06454694
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
岩城 徹 九州大学, 医学部, 助教授 (40221098)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1994年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | アストロサイト / グリア細胞 / αB-クリスタリン / 熱ショック / 細胞骨格 / 遺伝子導入 / 熱ショック蛋白質 / 中枢神経系 / アンチセンス核酸 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
αB-クリスタリンのはHSP27とアミノ酸配列の相同性が高く、熱ショックにより細胞内に蓄積してくる。また種々の神経疾患で反応性グリアや一部の変性ニューロンに蓄積してくることから、αB-クリスタリンは中枢神経系においてストレス蛋白質として様々な神経疾患の病態形成に関わっていると考えられる。そこでαB-クリスタンがグリア細胞内で具体的にどうのような機能を果しているのかを明らかにする目的で、グリオーマ細胞株にαB-クリスタリンの遺伝子導入を行ないαB-クリスタリンの発現量の異なる細胞株を得てその親株と比較検討を行なった。αB-クリスタリンの発現を抑制すると細胞は小型化し、ストレスファイバーの減少ないし消失をきたし、細胞の基質への接着性が低下した。逆にαB-クリスタリンの増加はストレスファイバーの発達と熱ショックへの抵抗性獲得に寄与することが分かった。細胞骨格は熱ショックにてその構築が乱れることが知られているが、おそらくαB-クリスタリンは分子シャペロンとしてその構造上の変化を認知し、この効果を通じて種々のストレス耐性に寄与しているものと思われる。ついでグリオーマ細胞を用いて細胞外K^+濃度の上昇がαB-クリスタリンの発現におよぼす影響を調べたところ、培養液中のK^+濃度の上昇に伴って、濃度依存性にmRNAの増加がみられた。さらにαB-クリスタリンの発現を抑制した細胞は細胞外のK^+濃度の上昇により容易に細胞死が生じた。逆に、過剰発現しているグリオーマ細胞では高濃度のK^+存在下でもより抵抗性を示した。私達の実験により、神経細胞死などにより生じた細胞外K^+濃度の上昇に応じてαB-クリスタリンは反応性グリア細胞に蓄積し、その細胞骨格構造の安定化に関与するとともに浸透圧の変化による細胞死を防いでその生存を助長していると考えられた。
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