研究分担者 |
唐沢 延幸 藤田保健衛生大学, 医学部・解剖学, 研究員 (70148287)
酒井 正雄 藤田保健衛生大学, 医学部・解剖学, 講師 (90196048)
新井 良八 藤田保健衛生大学, 医学部・解剖学, 助教授 (20159487)
山田 啓喜 藤田保健衛生大学, 衛生学・解剖学, 助教授 (60084604)
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研究概要 |
1)トランスジェニックマウス(Tgマウス)の脳の解析 1.1)ヒトのチロシン水酸化酵素(TH)のプロモーターと細菌のクロラムフェニコールアセチル転移酵素(CAT)の遺伝子との融合遺伝子を持つTgマウスの脳において、この導入遺伝子はカテコールアミン(CA)ニューロンに発現される(Sasaoka et al., Mol. Brain Res., 16: 274, 1992)ほか、異所性にCAニューロン以外のニューロンにも発現される(Nagatsu, I. et al., J. Neural Transm., 96: 85, 1994)。我々は電顕免疫組織化学を用いて、このTgマウスおドーパミンニューロンの細胞体、樹状突起(中脳腹側被蓋野)および神経線維終末(扁桃体中心核)にCAT蛋白が存在すること(Arai et al., Neurosci. Lett., 168: 76, 1994)、また異所性ニューロンに発現されるCAT蛋白に関しても、歯状回の顆粒細胞の細胞体、樹状突起および神経線維終末にその局在を認め(Arai et al., 1995 in press)。CAニューロンおよび異所性ニューロンに発現したCAT蛋白は、軸索輸送にて神経線維終末まで運ばれることが示唆される。 1.2)ヒトのドーパミン-β-水酸化酵素(DBH)のプロモーターとヒトのフェニールエタノールアミン-N-メチル転移酵素の遺伝子(hPNMT)との融合遺伝子を持つTgマウス(Kobayashi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 1631, 1992)の脳において、ニューロンに発現された導入遺伝子の発現産物が神経線維終末まで運ばれることを示唆する結果を得た(Arai et al., Brain Res. 621: 141, 1993)。Tgマウスの特定のニューロンに、特定の生理活性物質の合成酵素またはペプチドを発現させることによって、そのニューロンの神経線維終末までこれらが運ばれる可能性がある。 1.3)ヒトのTHのプロモーターは同じで、レポーター遺伝子(CATあるいはhPNMT)を変えても、ドーパミンとアドレナリンニューロンには発現するが、ノルアドレナリンニューロンには発現しない(Yamada et al., Biogenic Amines 11: 339, 1995)。レポーター遺伝子(hPNMT)は同じで、THのプロモーターのかわりにDBHのプロモーターを用いると、ドーパミンニューロンには発現しないが、ノルアドレナリンとアドレナリンニューロンに発現する。 2)ラットの脳の解析 2.1)腹腔内投与のL-DOPAは、ドーパミンニューロンの他にセロトニンニューロンの細胞体(背側縫線核)(Arai et al., Brain Res. 667: 295, 1994)、及びセロトニンの神経終末(線条体)(Arai et al., Neurosci. Lett. 195: 195. 1995)でも取り込まれてドーパミンになる。 2.2)腹腔内投与の5-ハイドロキシトリプトファンは、セロトニンニューロンの他にドーパミンニューロンの細胞体(黒質)やノルアドレナリンニューロンの細胞体(青斑核)に取り込まれてセロトニンになる(Arai et al., Brain Res. 669: 145, 1995)。
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