研究課題/領域番号 |
06454722
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山越 憲一 金沢大学, 工学部, 教授 (40014310)
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研究分担者 |
沢田 幸展 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (40045539)
田中 一男 金沢大学, 工学部, 助教授 (00227125)
小林 勉 金沢大学, 医学部, 教授 (40019922)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
7,000千円 (直接経費: 7,000千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 3,900千円 (直接経費: 3,900千円)
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キーワード | 無侵襲・無拘束循環機能評価 / 自律神経系調節 / 圧受容体反射 / 交感 / 副交感神経活動 / 容積補償法 / 連続血圧 / 最大エントロピ法 / スペクトル解析 / 自律神経係調節 |
研究概要 |
本研究は、平成6年度〜平成8年度の3年間に渡って研究が展開され、各年度の研究実施計画に沿って研究が進められ、主に以下に示すような研究成果が得られた。 (1)無拘束連続血圧・心拍間隔計測システムの開発と改良化研究:申請者らが考案した容積補償法の原理を用いて、一心拍毎に血圧を連続計測できる携帯型のシステム開発が行われ、研究の進行に併せて改良化研究を行った。血圧計測部位は実験条件に合わせ、手指基節或は浅側頭動脈部を選択出来るように工夫し、圧迫カフ内には容積検出センサ、圧センサ、及び電空変換器が内蔵され、カフ圧制御系の周波数応答をDC〜25Hzまで改善できた。本システムによれば、測定手順や信号・データ処理等はCPUで全自動的に実施され、一心拍毎の最高(SBP)/平均(MBP)/最低血圧(DBP)、脈波間隔、心電図R-R間隔(IBI)、及び呼吸数がメモリICカードに収録(約700,000心拍分)される。携帯装置本体の外寸/重量は160x140x45mm/700gfで、測定終了後データはマイコンで再生/処理される。 (2)自律神経系循環調節解析法とソフトウエアの開発:本研究では、(a) SBPとIBIの時系列データから解析する圧受容体-心臓反射機能とその感度(BRS)、(b) SBPを入力、IBIを出力とした相互相関分析から得られる迷走神経活動由来の周波数伝達関数、及び(c)交感/迷走神経活動機能を評価できるとされるスペクトル解析法の3法とした。特に(c)では、従来のFFT解析より高精度/高信頼の最大エントロピ法を導入して、時系列データを解析するソフトウエアを開発し、コンピュータベースの解析処理システムを構築した。 (3)システムの試用性能と予備実験:フィールド試験を行う前段階として、実験室内で各種負荷に対するデータ収集を行い、上記システムの実際試用性能の評価を行った。この際、ヒトの姿勢情報も同時計測できるシステムの開発も並行して行い、心理精神的ストレスを含めた各種負荷に対するデータ解析から、本システムの有効性が確認された。 (4)フィールド試験による自律神経系循環調節機能の解析と今後の課題:実験を行うに当り、循環調節に於ける交感及び迷走活動は相互に拮抗的に働き、日常生活の行動負荷が大きくなるに従って迷走活動は抑制され、交感活動が亢進されると言う仮説を立てた。本仮説の妥当性を検証したところ、BRS及びIBIの高周波数領域(0.15〜0.5Hz)におけるパワスペクトル密度は行動負荷が大きくなるに従い小さくなり、迷走活動の良い指標となることが示され、このことは周波数伝達関数からも実証された。しかし、IBIの低周波数領域(0.04〜0.12Hz)のパワ及びSBPのそれは、行動負荷の大きさと有意な相関は示さなかった。即ち、日常生活行動下における自律神経系循環調節を評価する場合、迷走活動については実験室レベルで得られた生理学的所見とほぼ一致したが、交感活動については単純なスペクトル解析では困難であった。これには瞬時末梢血管抵抗の定量的解析が必要であることが示唆され、本研究で得たシステムを更に発展させ、一心拍毎の心拍出量(CO)をも同時計測する無拘束システムの開発が重要であるとの結論を得た。そこで、CO計測にこれまで本研究と並行して研究を進めてきた胸部電気的アドミタンス法をシステムに導入する検討が進められ、その基本設計を行い、今後更なる発展的研究も提示することが出来た。
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