研究課題/領域番号 |
06507001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
薬理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
日高 弘義 名古屋大学, 医学部, 教授 (80100171)
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研究分担者 |
萩原 正敏 東京医科歯科大学, 難治研, 教授 (10208423)
榊原 仁作 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (70080182)
横倉 久幸 名古屋大学, 医学部, 助手 (90273242)
渡辺 泰男 名古屋大学, 医学部, 助手 (10273228)
仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10262908)
岡崎 勝男 名古屋大学, 医学部, 助手 (20252231)
水谷 顕洋 名古屋大学, 医学部, 助手 (30242861)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
29,900千円 (直接経費: 29,900千円)
1996年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
1995年度: 5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
1994年度: 20,000千円 (直接経費: 20,000千円)
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キーワード | 細胞内シグナリング / 蛋白質リン酸化酵素 / 阻害剤 / 構造活性相関 / 蛋白質立体構造 / 創薬 / コンピューターシュミレーション / 特異的阻害剤 / 分子設計 / 有機合成 / 活性調節部位 / 分子基礎理論 |
研究概要 |
蛋白質リン酸化酵素(プロテインキナーゼ、PK)が細胞内シグナリングに果たす役割は重要である。その阻害剤は、複雑な細胞内情報ネットワーク研究での蛋白質リン酸化の機能解明に、又は細胞内シグナリング異常に由来する病気の治療に利用できる、と考えられる。我々はこの作業仮説をPK-A研究用阻害剤H-89,PK-C研究用阻害剤H-7,カルモジュリン依存性PK研究用阻害剤KN-62,そしてくも膜下出血後の脳血管れん縮に抑制効果のあるPK阻害剤HA-1077を開発し、証明してきた。しかし、H-series薬物開発の歴史は、膨大な数のイソキノリンスルフォナミド誘導体からのランダムスクリーニングによる選択的なPK阻害剤の探索そのものであった。当該研究目標は、H-series薬物の作用機構、構造活性相関、そしてPK-H-series薬物複合体構造の研究を総合し同阻害剤の作用を分子レベルに明らかとし、将来のPK阻害剤の分子設計に役立てよう、とするものであった。研究成果を以下に要約する。 1.H-7、8、89とPK-A複合体のX線結晶の解析により同複合体の構造が決定された(Bossmeyer et al.,JBC,1996)。我々々が以前提唱したように、そこではH-series薬物のイソキノリンスルフォナミドがPK-Aに対してATPのアデニン環と同じような空間配置をとっていた。H-series薬物のPK阻害選択性は、そのイソキノリンスルフォナミドに付加された構造がそれぞれのPKでどれほど安定した構造配置をとるかで決まる。と考えられた。 2.HA-1077はPK-A、ミオシン軽鎖キナーゼなど様々なPKを阻害し、複合的に脳血管れん縮抑制に作用する。その誘導体にHA-1077とはPK阻害の選択性で大きく異なる薬物を同定した。これは上記1の研究成果と関連して、そのイソキノリンスルフォナミドに結合する構造を変えることでH-series薬物のPKに対する阻害活性、そして選択性が調節可能であることを示す。 3.KN-62の構造活性相関の研究から、その中心骨格は構造的に、そして機能的にチロシン残基であり、他にもカルボニル酸素、チロシンに付くイソキノリンスルホン酸が重要であった。目下、そのPK阻害機構、及びPK分子上の作用部位の解明のためKN-62のアジド体、放射能ラベル体の合成を計画している。 H-series薬物はPK阻害剤のシ-ド薬物となり、解明の進みつつあるPKの構造情報を参考に新たな薬物開発も可能である、と我々は考えている。
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