研究概要 |
本研究において、数keVオーダーのエネルギーを持つイオン粒子や電子線のような荷電粒子線の積分型二次元検出器を新しく開発した。この粒子線検出器はシリコン半導体の上に電極を積層した増幅型固体撮像素子AMIである.また,この粒子線撮像素子を投影型の二次イオン質量分析装置の搭載した同位体顕微鏡システムのプロトタイプを完成した. この同位体顕微鏡の性能は,空間分解能が最大1μmであり,512 x 250ピクセルの同位体画像を得ることが可能である.また,1ピクセルあたりのダイナミックレンジは4桁におよぶ.撮像領域は二次イオン質量分析装置のイオン光学系の倍率により25-400μmまで可変である.現在,この同位体顕微鏡を用い隕石中の同位体比分布の分析が進行中である.この分析により,原始太陽系の進化と我々を構成する元素の起源を探るための重要な証拠が得られることが期待される.しかも,この開発による波及効果として,半導体検出器CCDが光学分野の研究手法を革新的に変革したように,同様な効果が粒子線検出を手段とする科学工学分野においても急速に波及していくと思われる.
|