研究分担者 |
植本 浩紀 リコー, 生産技術研究所, 主任研究員
崔 長植 (催 長植) 東京工業大学, 工学部, 教務職員 (00242280)
山本 浩 埼玉大学, 工学部, 助教授 (20220494)
植本 宏紀 (株)リコー, 生産技術研究所, 主任研究員
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研究概要 |
1.軸受・ロータ系共振点の減衰を最大とする減衰最大化軸受面設計 空気膜のスクィーズ効果による減衰が最大となる周波数は軸受面の幅を小さくすれば増大することに着目し,格子形細溝を軸受面に形成することにより空気膜減衰を特定の共振点で最大とするラジアル軸受面とスラスト軸受面の設計法を確立した.軸受面の2種類の分割法の中,軸受面寸法によりどれを選ぶべきかも明らかにした. 2.ロータの構造体弾性変形をも考慮した静圧エアスピンドルの振動解析 空気膜・ロータ系の固有振動数と固有モードをロータの弾性変形およびボルト結合剛性をも考慮して解析する手法を確立し,ロータ質量による固有振動数の予測精度を高めると共に,ロータの弾性振動の3次モード(11kHz)までの固有振動数を誤差5%以下で評価できることを示した. 3.加工外乱力に対する変位応答のrms値を最小とするエアスピンドル設計法 加工力による加工点の静的変位が最小となるスラスト・ラジアル軸受寸法の最適配分法を提案した.これによるとラジアル軸受径が従来より大きくなる.また上記1.項の手法を基礎に,各種のスペクトル分布をもつ加工力が作用する場合の加工点の動的応答変位のrms値を最小とする軸受静剛性と共振点減衰比の最適配分設計法を明らかにし,狭帯域スペクトルと広帯域スペクトルの場合の最適設計例を示した.また上記2.項の成果を用いて,従来5kHz近傍にあったロータの曲げ振動の最低次固有振動数を極力高める設計を行い,7kHzを達成した. 4.動的コンプライアンスが3σ値で10nm/N以下となる超精密加工機用エアスピンドルの試作・評価 広帯域スペクトル分布を有し,rms値が1Nの外乱力に対する応答変位のrms値が最小となるエアスピンドルを設計し,試作・評価した.試作したエアスピンドルは軸受すきまが設計値より小さく,静的剛性は計算値の50〜70%,動的剛性は計算値より20〜30%大きく,減衰比は計算値の60〜80%となった.しかしエアスピンドルの自由支持条件および固定支持条件におけるコンプライアンス周波数応答関数から,0.5〜5kHzのrms値が1Nの広帯域外乱力に対するラジアル方向とスラスト方向の動的コンプライアンスが,変位応答の3σ値で,目標値の10nm/N以下が実現できていることを確認した。またダイレクトブラシレスモータを組み込み回転中のロータの振動を測定し,非再現性振動成分のrms値が約12nm,再現性成分が±16nm程度であることを確認した.
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