研究概要 |
(1)低干渉光源を利用した測定系の確立: スーパールミネッセントダイオード(以下,SLDと略す.)からの出射光を用いた低コヒーレンス干渉系を構成して,散乱流体による干渉出力特性を明らかにした.ここでは,干渉系において周波数をシフトされた参照光と粒子からの反射光の干渉出力をヘテロダイン検出を用いて採取する独創的な高感度測定系を構成した. (2)SLDを用いた流路深さ方向の二次元流速測定法の確立: 散乱光と参照光のファイバカップラーからの光路長差を,参照光反射ミラーをマイクロステージにより移動させることで,トラバース測定できることを確認した.この手法を,高密度散乱流体の流れる流路において,流路深さ方向の流速分布をトラバース測定し,理論流速分布とほぼ同様の測定結果を得ることができた. (3)流動計測システムの確立: 実際の計測システムでは,光学系のセッティングを容易にするために光路には光ファイバーを使用し,SLD光の分岐・合成を行うビームスプリッタにはファイバーカプラを用いた.また,測定装置をGPIBで結合することで,自動測定システムを構築した.この際,流速を求める手法として,フォトマルチプライヤからの干渉出力をFFT解析し,そのスペクトル分布のなかの最大値の半値幅を利用するという独特の方法が採用された. (4)本計測手法の性能評価: 流速が高いほど,即ち,単位時間当たりのSLD光を横切るトレーサの量が多いほど干渉スペクトルの半値幅が大きく,トレーサ濃度が高い程干渉スペクトルの半値幅が大きくなる結果が数種類のパラメータを変化させた条件下で得られた.これらは理論的に妥当であると考えられる.また,測定位置の分解能としては30μm程度である.
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