研究概要 |
1.自動注湯は,定点で鋳型溶湯を注入する注湯プロセスと,間欠的に注湯機を鋳型に沿って搬送させる搬送プロセスとからなる.本研究では,まず自動注湯装置における注湯プロセスや搬送プロセスにおけるシステムのモデリングを行った.注湯では,Navier-Stokesの流体モデルに,回転の項を付け加え,また連続の式を連立させた.搬送システムでは,振り子型の簡易モデルを構築した.シミュレーションと実験の結果,両者は良く対応しており構築したモデルの妥当性を確認できた. 2.2次元のシミュレーション解析結果をアニメーション化させ、注湯時の流線や容器内流体の挙動,また搬送時の液体振動状況を解析しやすいシミュレータを構築した. 3.注湯における,タンク傾動速度制御については,逆位相入力を加える入力整形手法を提案し,傾動角度の位置決め制御と液体制振を行い,かつ制御時間の早い制御システムを構築した. 4.溶湯搬送においては,注湯により液位が変化するので,液位の変化に対応できる搬送制御システムを構築した.H無限大ロバスト制御により,従来の制御系に比べて,きわめて良好な制御システムが得られた. 5.大学研究室で自走式自動注湯装置を製作した.試作装置により制御実験を行ったところシミュレーションと同様に良好な結果が得られ,実験室レベルの研究に関しては,当初の目的がほぼ達成できた.また,実機でタンク傾動制御を行ったところ,妥当な結果が得られた.今後は,これらの基礎結果をもとに,実機での,注湯制御,および搬送制御の実験を重ね,実機レベルでの自動注湯制御システムの完成をはかる.
|