研究概要 |
移動ロボットが現在の位置から別の特定の位置へ移動しようとした場合,通常の車輪を使用していると二自由度(前後及び操舵)の非ホロノミックな動作しか行うことが出来ないため,余分な切り返しや大回りを行う必要がある.これに対して、移動ロボットに三自由度(前後,左右及び旋回)を与えた場合,特異点が無くなり,任意の初期姿勢から任意の方向へのホロミックな動作が可能となるため,無駄のない移動が行われる.特に,工場内等の混雑した環境での作業には,全方向に移動可能であることが有効である.さらに,移動に要する時間も短縮することが可能となるため,高速性を必要とする作業にも有効である. 本研究では,この全方向移動型ロボットを対象とした自己位置測定用センサの開発を行う. 今年度は,二次元対地速度センサをロボットに取り付けた後,ロボットの移動方向を変化させて,大部分の方向において速度計測が確実に行われていることを確認した.速度計測が困難な方向については,センサ数を増やし,あらゆる移動方向に対応できるようにする. 次に,センサからの信号をA/D変換ボードによってホストコンピュータに取り込み,自己相関処理により速度の方向と大きさを計算した.本実験で使用しているDSPボードのサイクルタイムは50nsec,自己相関信号処理において必要となる積和演算の数は10^5程度であったため,リアルタイム処理が可能であると判断できた. なお,実際の運用に当たっては,誤差の累積を避けるために外界センサと併用することも考えられる.ただし,この場合でもデッドレコニングの誤差が減少しているので,従来のエンコーダ方式に比較して外界センサの設置間隔や外界情報を取り込むサイクルタイムなどの点で改善が行われている.
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