研究概要 |
既存の平行平板型RFスパッタ装置(周波数13.56MHz)を改造してプラズマCVD装置を試作した.配管中で原料ガスの液化を防ぐため配管の温度を100℃に加熱するなどの対策を施した.同様な対策を反応室にも施した.排気ガスは液体窒素トラップを介して排気し,未分解のガスを取り除く処置をとった. 同装置でTICS(テトライソシアネートシラン)と_2を原料に用いてSiO_2の体積実験を行った.膜特性は原料ガス組成比によって大きく変わり,酸素リッチ条件(酸素分圧比80%)で良好な膜(抵抗率5x10^<14>Ωcm,膜密度2.3g/cm^3,屈折率1.46,BHFに対するエッチング速度330nm/min)が堆積できた.この膜は沸騰水中で2時間加熱処理を加えても吸水した兆候は観測されなかった.以上により,本研究で提案したCVD法により水素を完全に取り除いた原料系でSiO_2が堆積でき,しかも,堆積後にも吸湿しない良好な膜であることを示すことができた. 堆積温度を下げると,膜に吸水性が表れ,100℃では10wt%の水を含んでしまうことが判明したが,これに対しても,酸素添加量をより増やすことにより1.6wt%まで低減できることを示した.この膜は,堆積後に300℃のアニール処理を施すことにより,優れた界面特性を有することがMOSダイオードのC-V特性より明らかになった.界面準位密度は8x10^<10>cm^<-2>eV^<-1>であった.これは本SiO_2膜が化合物半導体デバイスへ応用可能であることを示唆している. 一方,原料ガスにCF_4を添加して,フッ素添加SiO_2膜を堆積したところ,比誘電率を8%,屈折率を3%,それぞれ無添加時より低減することができた.屈折率をフッ素添加で低減可能なことは,膜中に-OH基を含まないことと併せて,TICS/O_2系プラズマCVDSiO_2膜を低損失な「光学材料」としも応用できることを意味しており,新たな応用分野を開拓できると思われる.
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