研究概要 |
21世紀の超高速大容量光情報伝送や光情報処理の実現のためには、時間軸と空間軸の両方において高密度化が可能な光源の開発が不可欠である。しかし実現の道はそれほど近くはない。したがって、このような次世代光技術をささえるために新たな半導体レーザを開拓し、その技術を確立することは急務といわざるを得ない。 本試験研究では、上述の究極レーザのひとつとして、量子細線を活性層に有する垂直型微小共振器レーザをこれまでの本研究者の実績をふまえて試作し、その高性能性を明らかにする。これにより「量子微小レーザ」が超高密度(時間的・空間的)集積光システムの中心になり得ることを実証し、次世代の集積レーザのあり方が浮き彫りにする。 本研究計画で得られた成果は,量子ドットの作製技術としては,(1)形成の初期過程の観察(2)自然配列化(3)新しい作製法の開拓(4)微小共振器量子ドットレーザ作製(5)壁開面上への量子細線の選択成長について成果を挙げるとともに,ナノメートルスケールの光・電子相互作用の解明として(6)近接場光顕微鏡による量子ドットの光学評価(7)マイクロフォトルミネッセンスによる2次元電子ガスとポイントコンタクト構造における電子の噴出現象の可視化を進めた。さらに,(8)共振器ポラリトンにおける励起子-励起子散乱の効果の解明(9)微小共振器中の量子井戸における磁気励起子効果の観測(10)2次元フォトニック結晶における新欠陥構造の提案など,共振器効果についても重要な知見を得ることができた。 これらに加えて垂直共振器型量子細線レーザおよび垂直共振器型量子ドットレーザを試作し,光ポンピングによる低温レーザ発振に成功した。 本研究成果はナノ構造を有する半導体レーザの実用性の可能性を明らかにしたものであり,今後のデバイス技術の発展に大きく寄与するものである。
|