| 研究概要 |
指向性アンテナと適応最尤系列推定器からなる知的受信系を計算機シミュレーションによって詳細に検討した.その結果,この受信系は同一チャネル干渉波の存在するマルチパス伝搬路において有効であることが分かった.さらに特性を向上させるために,指向性アンテナでは分離できない同一方向から入射する同一チャネル干渉波への対策について研究を行い,トレリス符号化同一チャネル干渉波キャンセラ(TCC)を考案した.続いて,このTCCの計算機シミュレーションによる特性改善の研究とDSPによる試作を行った.主要な成果を以下にまとめる。
・指向性アンテナと適応最尤系列推定器からなる知的受信系を提案し,その計算機シミュレーションを行った.その結果,本受信系がマルチパスと同一チャネル干渉波対策として有効であることが明らかになった.
・周波数利用効率を決定する同一チャネル干渉波耐性を更に高めるには,非線形同一チャネル干渉波キャンセラが有効であることを計算機シミュレーションによって明らかにした.
・従来の非線形同一チャネル干渉波キャンセラでは,良好な特性が得られると期待される静的伝搬路においてむしろ特性が劣化する点を指摘し,その対策としてトレリス符号化変調が極めて有効であることを明らかにした.
・トレリス符号化を用いた非線形同一チャネル干渉波キャンセラをDSPを用いて試作し,室内実験装置によってその優れた特性を明らかにした.
・TCCのレイリーフェージング伝搬路における特性改善方法を研究し,アダプティブアルゴリズムの忘却係数の設定及びインタリーブが有効であることを明らかにした.ディインタリーブと統合されたTCC処理アルゴリズムはレイリーフェージング環境において極めて優れた特性を発揮した.
以上,知的信号処理系の核心となる干渉キャンセラ部分をDPSを用いて試作し,実際に室内実験装置系に組み込み特性を確認した。
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