研究分担者 |
今野 信一 新日本製鐵, 構造橋梁部, 部長代理
藤野 陽三 東京大学, 工学部, 教授 (20111560)
沈 赤 埼玉大学, 工学部, 助手 (10251141)
北條 哲男 新日鐡, 構造橋梁部, 部長代理
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研究概要 |
構造物の長大化に伴い,軽量,高強度のケーブルが使用される機会は増大しつつある。しかし,構造用ケーブルは振動減衰能が極めて小さいことから,風等の作用によるケーブル部材や全体構造の振動が問題とされることが多い。有害なケーブル振動に対しては各種制振対策が施されることになるが,既往の制振対策は各構造物,各現象に対して対処療法的に広義のダンパーを付加することに留まっており,構造や外力,あるいは振動発生メカニズムに依存しない,汎用性の高い制振対策が望まれるところである。このような背景にあって,本研究では構造用ケーブルそのものの振動減衰能を高める工夫を試み,汎用的な高減衰ケーブルを開発することを目的とした。 本研究の内容および成果は以下のとおりである。 1.粘弾性減衰材をケーブル内に挿入することによって内部減衰そのものを高める方法を検討した。一つは振動時変動ひずみを大きくするための構造的工夫に関する数値解析的検討,もう一つはヒステリシスループの膨らみを大きくするための材料的工夫に関する数値解析および模型実験による検討である。 2.ヒステリシスループの膨らみを大きくするための材料的工夫としてケーブルと被覆管との間に粘弾性材を挿入することを想定し,そのケーブルの等価口スファクターを解析的に求めて高減衰化のための条件を求めた。 3.丸鋼棒に粘弾性材を巻いた試験体を用い,粘弾性材による高減衰化の可能性に関する実験的検討を行った。粘弾性材の巻き方を螺旋状にするなどいくつか工夫を試みたが,極端な高減衰化は難しいことが明らかとなった。 4.粘弾性材による高減衰化が簡単ではないことが明らかになったため,2次ケーブルによるケーブル振動制御,およびケーブル支点付近でのアクティブ波動制御について,その減衰効果を実験及び解析により検討した。
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