研究概要 |
ロボットの触覚センサーへの応用を目標として圧電性エラルトマーの調製および物性に関する基礎的研究を行った。空間電荷型(SC型),平行双極子型(PD型),ゴム-棒状高分子ブレンド型(RRB型)の三種類のタイプのエレクトレットが考えられる。SC型については,過塩素酸リチウムをドープしたポリプロピレンオキシドを末端架橋型ポリジメチルシロキサン(液状ゴム)に分散させたエマルジョンに電場を印加したときのモルフォロジー変化を詳しく調べ,帯電した液滴の移動によって分極が生じる過程を詳しく調べた。次に電場を印加しながら媒体を架橋し,PPO/液状ゴム系の圧電性を測定したところ,ポリ弗化ビニリデンより強い圧電性が確認された。また圧電信号は刺激の種類によって大きく変化した。次にPD型のエレクトレットとして熱可塑性ゴムであるスチレン-インプレン-スチレントリブロック共重合体(SIS)の誘電測定により分極過程を調べた。この系ではイソプレンブロックが主鎖に平行な双極子を持ち,スチレンブロックは架橋点として働く。その結果,緩和時間分布はモルフォロジーによって大きく変化し,スチレン相のガラス転移温度付近ではスチレンブロック鎖が,あるドメインから別のドメインへ移動へ移動することが緩和強度から確認できた。また活性化エネルギーがスチレンブロックの分子量に比例して増大することを見い出した。熱刺激電流および貯蔵ずり弾性率の測定も行い,非常に遅い分極の原因となる分子運動についても調べた。大きい双極子能率を持つ棒状高分子と屈曲性高分子の混合系のエレクトレット化(RRB型)については,基礎研究としてポリイソプレン/ポリヘキシルイソシアネート/トルエン3成分系の誘電緩和を調べた。
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