研究課題/領域番号 |
06555234
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 試験 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
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研究分担者 |
清田 佳美 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60216504)
沢山 茂 三菱化学(株)総合研究所, 化成品研究所, 部長研究員
木村 元彦 静岡大学, 工学部, 講師 (20195382)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1994年度: 4,800千円 (直接経費: 4,800千円)
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キーワード | イオン性高分子ゲル / 物質移動 / インターペネトレートネットワーク / ドナン平衡 / 膨潤・収縮 / 屈曲機構 / 電場 / 最適操作条件 / 高分子ゲル / イオン / アクチュエータ / 自律応答材料 / 動電現象 |
研究概要 |
1.高分子ゲルの構成成分に基づく化学・物理構造の設計及びその運動性を前提とした分子レベルの構造制御: ポリビニルアルコールと2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸からなる新規なインターペネトレートネットワーク構造を有するゲルを合成することに成功した。ゲルの運動特性を規定する物理化学的構造(網目構造、水和構造)や環境構造(水構造、電解質種)とゲル物性について、疎水性有機物のゲルに対する吸着という観点から検討を行いその相関性を明らかにした。また、ゲル構造の環境依存性、構造変化のダイナミクスを評価する実験的手法として、水晶振動子微小天秤によるin situ測定法を開発した。 2.高分子ゲルネットワーク内におけるイオンおよび溶媒の移動メカニズムの解明: 電解質水溶液中で板状ゲル(素子)に電場を印加するとゲルは陰極側に屈曲した。種々の電場強度、電解質濃度においてゲルの屈曲速度、最大屈曲角(屈曲特性)を明らかにした結果、これらの値を最大にするゲル内イオン基濃度に依存した最適条件が存在することわかった。新たに考案したゲル粒子充填型電解セルを用いて電場印加時におけるゲル内の物質移動と膨潤率分布を測定した。ゲル内の対イオン(Na^+)濃度は陽極側より減少し、これに応じてゲルの膨潤体積も陽極側より大きくなることが明らかとなった。素子を運動させる基本的な機構は、素子内のイオン濃度分布が経時的に変化すること並びにこのイオン濃度分布に依存してゲルの浸透圧が変化し、素子内に応力分布を形成することが主要な要素であることが明らかとなった。素子膜の屈曲機構に及ぼす関係イオンの種類、価数の影響を実験的に調べた結果、屈曲特性は電解質水溶液中のゲルの膨潤特性に強く依存していることが分かった。これにより、ゲル内に生じるイオンの濃度分布を種々調整することによって、ゲルの屈曲する方向を制御できることを実験的に裏付けることが出来た。ゲルの屈曲速度を向上させるゲル内の固定基濃度の上限値が存在することが分かった。 3.イオン、溶媒の移動メカニズムとゲル構造の相関性および理論モデルに基づく設計手法の確立: 素子の運動特性についてドナン平衡理論に基づく解析を行った。屈曲速度を最大にする設計指標として、ドナン比が有効であることを示した。ゲルの膨潤率分布をゲル内に生じる応力分布に換算し、これを基に梁の純曲げ問題と対応させて板状ゲルの屈曲挙動を推算したところ、板状ゲル膜の電場における屈曲挙動を良好にシミュレートすることができた。素子内に経時的に発生・変化する応力分布を実験的に定量化する手法、これに基づき解析的に素子の運動パターンをシミュレートする手法を開発した。
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