研究概要 |
1.新しいタイプの抗炎症剤の開発:細胞接着分子ICAM-1の誘導抑制活性試験において、サントニンより誘導される3-oxoeudesmano-13,6-lactone類の2,3,11位の置換基の種類および6位の立体化学を化学修飾することにより、構造と活性の相関関係を調べた。その結果、3位のカルボニル基、2位のブロム原子又は二重結合、11位のメチレン基は活性発現に大きく寄与することが分かった。6位の立体については、11-メチル体に関しては6-αが、また11-メチレン体(α-メチレン-γ-ラクトン)に関しては6-βがより活性が強いことが分かった。2α-bromo-3-oxoeudesmano-13,6α-lactoneおよび13,6β-lactoneに関してはラクトン部分がα-メチル-γ-ラクトンであるにもかかわらず強い活性を示し、ラット空気嚢炎モデル法を用いたin vivoのアッセイでも強い活性を示した。従ってこれらの化合物は抗リウマチ抗アレルギー剤として利用できる新しいタイプの抗炎症剤として大変有望であると考えられた。 2.農業用殺菌剤の開発:6年度、サントニンより誘導されるeudesmano-13,6α-lactone類に関して農業用殺菌剤としての生理活性試験を行い、16種類の化合物に活性を見い出しているが、7年度対応するeudesmano-13,6β-lactoneに関して活性試験を行った所、7種類の化合物に活性が認められ、ラクトン環の立体化学の違いで全く異なった病気に効くことが分かった。 3.白アリに対する殺蟻剤の開発:6年度までに得られたAB環のシス結合をしたカメシノン誘導体に関する構造相関をもとにA環部分の化学修飾を行った。殺蟻活性と構造との相関関係については現在検討中である。 4.植物成長調節剤の開発:サントニンより誘導されるグアイアノリド類4種類に中程度の強さのオーキシン様活性を見い出した。
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