研究課題/領域番号 |
06555284
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
高分子合成
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
柿本 雅明 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90152595)
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研究分担者 |
米田 勝実 日本レーザ電子(株), 光技術研究所, 主管研究員
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
1995年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1994年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 直流グロー放電 / プラズマ重合 / ナフタレン / ベンゼン / 有機ケイ素化合物 / 酸化ケイ素 / 二硫化炭素 / イオウ / ナフタリン / 二酸化炭素 / パ-フルオロナフタレン / ESCA |
研究概要 |
本研究は、今までプラズマ重合においてほとんど試みられていない直流グロー放電法によるプラズマ重合膜の特長を明らかにし、機能性をプラズマ重合膜の創製に結びつけることを目的とした。 1)出発物質が反応性の官能基を保持していなくても重合が可能であるプラズマ重合の特徴を活かして、昇華性の固体であるナフタレンおよびオクタフルオロナフタレンをモノマーとして選択し、直流グロー放電の印加電圧やモノマーガスの圧力と放電電流との間の関係を調べ、印加電圧の上昇に伴いモノマーの構造が破壊されること、膜の内部では炭素含率が高く、表面でのみ酸化された構造が検出されることを明らかにした。 2)ベンゼンとそのフッ素置換された誘導体を用いてプラズマ重合を行い、ベンゼンのプラズマ重合で高印加電圧時に生成するカーボン膜がナフタレン由来のカーボン膜とは構造が異なっており、直流法ではフルオロカーボンのプラズマ重合において、ラジオ波やマイクロ波を用いたプラズマ重合で観察されるCF_2やCF_3基の生成はほとんど起きないこと、さらにモノマーに含まれるフッ素原子の数によって表面のぬれ性を制御できることを明らかにした。 3)シロキサンとジシランをモノマーにしてプラズマ重合を行ったところ、いずれの場合にも炭素を含むケイ素酸化物の膜となり、炭素含率はモノマーのそれと比較して半分以下に低下し、また、製膜速度は負グロー相で最も速くなるものの組成にはほとんど差がないこと、プラズマ重合膜の材料特性として、ぬれ性・光透過性・および気体分離能を評価し、いずれの膜も可視光領域で透明ではっ水性が高く、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)のプラズマ重合膜では二酸化炭素/窒素で2以上の気体分離能を有することを明らかにした。 4)チタンやスズを含んだ金属化合物のプラズマ重合を行い、炭素やハロゲンを含むモノマーでも主に金属酸化物の膜が生成し、重合反応は気相ではなく固体表面で進行していると思われる。 5)イミダゾールと1-ビニルイミダゾールとのプラズマ重合を検討し、1-ビニルイミダゾール重合膜でのみ蛍光を示すことを明らかにした。 6)単独ガスでの反応を発展させ、モノマーガスとしてエチレンとOMCTSの混合比を徐々に変化させてプラズマ重合を行うことにより、二層構造や三層構造の傾斜複合材料が作製できることを明らかにし、このときの膜の組成を制御するためには、ガスの混合比だけでなく、各モノマーの製膜速度も重要な要素であることを示した。また、プラズマ重合膜の表面形態を原子間力顕微鏡を用いて観察し、エチレンでは比較的平滑な表面が、OMCTSでは平滑面に突起が観察され、さらにエチレンとOMCTSの混合膜においては両ガスの混合比に応じて両者の中間的性質を有した表面となった。
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