研究概要 |
1.水田が大区画化されるに当たり,従来は農作業の効率,排水性,田面の均平性などの視点から,長辺長が検討されてきた。しかし,大区画になると乾田直播等の導入によって土壌の乾燥が進み,土壌構造が発達し,下層土の透水性が増加すると,用水の取水速度と下方への浸透量とのバランスが長辺長を規制することが考えられる。 そこで,下層土の透水性の良い,茨城県稲敷郡河内村の30a圃場において,代かき時灌水の水足の到達速度を実測し,制限因子としての長辺長を検討した。結果は,従来の考え方のように土層中の空気間隙を灌水が満たす量と,湛水する量を見積もるだけではなく,下層土への浸透分を加えることが、水足の到達に必須であることを確認できた。この要素の加算は取水速度に制限があることを考えると,その量によっては長辺長の制限因子となることも予想される。大規模な転作,乾田直播が行われるときに考慮が必要である。 2.下層土の透水性が良い水田と悪い水田とを比較しながら,水足ののびを実測し、水足ののびをモデル化し、取水量と長辺長の関係を検討した。 3.借地による大規模経営の経営可能面積と経営必要面積を,中型機械装備と大型機械装備について検討し,日本では数10ha程度の経営規模があり得ることが分かった。 4.中型機械装備と大型機械装備を使用する借地大規模経営の農家の作業を機械の作業性からみると,区画は大きい方がよい,区画の長辺長も機械の作業幅の2倍の大きさ以上であれば大きい方がよいことになる。すなわち,機械は区画の長辺長の最小限必要な大きさを決めるが,これ以上大きくはできないという最大の大きさを制限する要因にはならない。
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