研究概要 |
電顕では,pre-embeddingでhybridize後,post-embeddingで標識に用いたBrdUを金コロイドラベル抗BrdU抗体で可視化する方法を反復して検討した.副甲状腺でのPTHrPの発現,骨肉腫培養細胞株のp53変異株とp53正常株の比較等で,固定条件やhybridizationの条件を検討し,超微形態の保存にはかなり良好な結果を得た.一方,抗原性の保持,復活との関係から,マイクロウェーブ処理後p53免疫染色を行うと,長期ホルマリン固定等で失われた抗原性が回復する条件等を検討し論文にまとめた.又,Digoxygeninを用いた方法でマウスイテグリンの発現をマクロファージ細胞について,機能発現との関係を明らかにした. この間,平成7年1月17日の阪神・淡路大震災により、電子顕微鏡の補修を行い、約半年間電子顕微鏡を使わない研究を優先した。即ち、コクサッキーウィルスと心筋炎についての研究で、PCR法による増幅と半定量化に成果があった。即ち、RT-PCRにより心筋炎、DCM患者よりウイルス感染の有無を検討し、心筋炎で80%、DCMで17%の陽性結果を得た(Int.J.Cardiol.,51,157-164,1995)。この際RT-PCRの定量的評価にマウスでの検討を行い、1〜10 PFUで検出可能であることを示した。その後電子顕微鏡も修理され、研究環境も整った。 更に,癌抑制遺伝子p53の免疫染色では数カ月間ホルマリン固定した分でも抗原性が回復するが,電顕では有効性が微少で証明できなかった.PCRISHについては,光顕レベルでの予備検討を行ったが,細胞内では保持される増幅産物が,薄切した切片では,場所が動くために局在性の証明には無理があった.Alternative splicingについてはPTHrPのいくつかのエクソンを別々に工夫し,細胞質内における転写後修飾が関与していることを明らかにした. 最終的には、超微形態の保持と分子雑種効率の保持についての検討では、それなりの成果を得たが、超微形態の充分な保持にはまだまだ不充分である。
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