研究概要 |
研究計画の最終年度である平成7年度の研究経過は,以下のごとく3点に要約される.すなわち, 1)データベースの補充(斉藤健,高倉) データベースを強化し,種々のデータによる分解能,再現性などの処理パフォーマンスの安定性を確認し,システムの完成度を高めた.具体的には,ヒトのVDT作業およびその後引き続く仮眠状態の脳電位12チャンネルを記録し,数量化処理可能なデータに加工した.また,ラットの海馬周辺の脳切片に電気刺激を行い,神経回路における興奮反応を0.6msec間隔で記録したデータを用いて,時系列画像データファイルを作成した. 2)データベースの解析処理(神山,江口) プログラムメニューに対応した利便性、操作性を考慮し、高速処理能力を備えたシステム構成を用いて,作成したデータベースについて解析処理を行った.具体的には,ヒトの脳電位記録データベースに本研究の特色である最大エントロピー法によるスペクトル解析を適用し,脳平面の二次元画像を作成した.さらに,これらを時系列データとして三次元化し,脳電位の時間変動を1枚の画像に可視化した.従来型のFFTによるスペクトル解析を適用した成績と比較し,分解脳,安定度が向上したことを確認した.また,ラットの海馬周辺の脳切片から得られた超高速度画像も同様に時系列データとして三次元化し,興奮過程の可視化を行い,各部位における興奮レベルの量的変化について時間変動を把握することが可能となった. なお,これらの成果をカオス解析,相関分析などへ導入する意義は大きく,本システムではデータ構成をこれらの非線形解析が容易に実行可能な形式とした. 3)研究成果のまとめ(神山,斉藤和雄) 上述の実験成績は,本研究の当初の目的はほぼ達成されたことを示す.そこで,本システムの活用範囲,改良すべき問題点等についても検討を加え研究内容をまとめた.
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