研究分担者 |
林 和子 通産省大阪工業技術試験所, 主任研究官
益田 順一 国立循環器病センター研究所, 室長 (70173747)
高橋 俊樹 大阪大学, 医学部, 助手 (50263257)
福嶌 教偉 大阪大学, 医学部, 助手 (30263247)
白倉 良太 大阪大学, 医学部, 教授 (00116047)
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研究概要 |
申請者らはantisense delivery systemのdeviceとして有力な候補であるステントの、留置血管への影響を検討するため、家兎大動脈ステント留置モデルを確立、免疫病理組織学的及び分子生物学的に検討し、ステント留置後の平滑筋細胞の脱分化と増殖が生じ、留置後2ケ月までに増殖が停止、再分化が完了することを示した(Bai H,1994,Arterioscler Thromb 1994)。また実際には血管狭窄病変のベースに認められる動脈硬化病変に対するステント留置後の動態についても検討を行い、新生内膜に蓄積するマトリックスの産生の過程において、マクロファージ及びプロテオグリカンの関与が示唆されることを報告した(T Yamakawa,Japan Cric J,Suppl 1996)。 また、実際に心臓外科領域において代用血管として最も用いられている自家静脈グラフトの移植後に生じるvein graft diseaseのモデルを作成、確立し、静脈グラフトの動脈化の過程において、平滑筋細胞は増殖し、形質を胎児型に変換し血管壁が肥厚するが、2カ月以降平滑筋が徐々に脱分化することを免疫組織学的に確認した(W Zhang,日外会誌,suppl 1995)。更にターゲット臓器に直接アプローチできる、という外科治療の特性を生かし、摘出した血管にHVJリポゾーム法を用いて遺伝子を導入し、この血管を自家移植したところ、術後2週間導入した遺伝子が発現していることを確認し(Bai H,日外会誌,suppl 1996)、また細胞周期の制御因子であるsdilを静脈グラフトに導入し、新生内膜の形成が抑制されることを報告した(Bai H,Circulatin,supple 1996)。この静脈グラフトの摘出時に遺伝子導入を行う「ex vivo遺伝子導入法」は、ベクターに対する安全性の確保、目的臓器への導入効率の両面から極めて有効な手段と考えられた。
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