研究概要 |
新しい炎症増幅因子としてのオステオネクチン(SPARC)を骨,軟骨疾患診断薬として応用するため、リウマチおよび変形性関節炎の患者より、滑液、滑膜、軟骨を採取して、オステオネクチンレベルを、サンドイッチELISA法,イムノブロット法,免疫組織染色法にて検討した。その結果,滑液中のオステオネクチンレベルはリウマチ患者では変形性関節炎に比較して10倍上昇していることが判明した。また正常滑膜および軟骨にはオステオネクチンはほとんど存在していないのに対して、リウマチおよび変形関節炎の滑膜および軟骨では、オステオネクチンレベルが著しく増大していた(Arthr. Rheum. 1996印刷中,4月号)。さらに軟骨細胞培養系を用いて、オステオネクチンの蛋白mRNAの合成がTGF-bとBMPによって強く誘導されることを見いだした。一方interleukin1は抑制した。(Arthr. Rheum. 1996印刷中、4月号)。これらの知見は、慢性期の関節炎マーカーとしてオステオネクチンが有用であることを示している。次ぎに、ヒト歯髄細胞を培養して、象牙芽細胞への分化過程でオステオネクチン合成が亢進する事、またTGF-bおよびBMPはその合成を推進するのに対して、FGFは抑制的に作用することを見いだして報告した(Dev. Biol., 1994)。今後、SPARC, p39およびSAA-3を歯周炎の炎症診断マーカーとしても利用したい。
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