研究分担者 |
宮本 学 岡山大学, 歯学部, 助手 (40252978)
新井 英雄 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70222718)
磯島 修 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (90176256)
永井 淳 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70252989)
栗原 英見 岡山大学, 歯学部, 助教授 (40161765)
高橋 慶壮 岡山大学, 歯学部, 助手 (70243475)
|
研究概要 |
歯科治療,特に歯周治療に利用できる細菌検査システムの構築を目的として以下の一連の研究を行った。歯周ポケット内の細菌叢の検討により,複雑な細菌叢の実態が明らかになった。また多菌種を簡易に検出・同定可能な検査方法を確立し,大学歯科診療室以外の医療施設で細菌検査を実施した。 1)歯周病および関連疾患における特異細菌の役割の解析 歯周病および歯肉増殖症,歯内一歯周合併症の細菌学的病態を解明するために,個々の症例において特異細菌の検出・同定を行った。歯周病は,宿主防御機能の遺伝的相違が最も少ないことと細菌の伝播様式を考慮して,早期発症型歯周炎患者をもつ家族症例を対象とした。いづれの症例にも特異細菌の関与が示唆されたが,その分布は臨床的診断名と関連が少なく,さらに同一家族内でも感染菌の相違がみられた。結論として,歯周病の細菌検査には多菌種の検出・同定が必要であることが示唆された。 2)簡易検査法の開発 簡便でしかも同時に多菌種の特異細菌を検出・同定できる手法を確立した。検出・同定の原理として,細菌の16SリボゾームRNA(nRNA)の塩基配列の違いを利用した。16S rRNAをプラークから直接検出・同定する方法は感度が低く,またサンプルの保管の点で問題があった。そこで,培養法と組み合わせてコロニーハイブリダイゼーション法により検出・同定する系,およびpolymerase chain reaction(PCR)法によりrRNA遺伝子を増幅することにより検出・同定する系の二法を開発した。両方法とも十分な感度と精度を持っており,特に後者は操作が簡便で検出・同定までの時間が短く目的とする細菌検査法とて有用であった。 3)他の医療施設における応用細菌検査の対象を大学病院歯科治療室を訪れる患者以外に拡げるために,他の治療施設を受診した患者のサンプルを解析した。岡山大学医学部付属病院を受診したインシュリン依存性糖尿病患者,およびらい療養所に入所しているらい患者の歯周ポケット内の特異細菌を検出・同定した。
|