研究分担者 |
今成 司 日本電子(株), 分析技術本部, センター長
樋口 恒彦 東京大学, 薬学部, 助手 (50173159)
袖岡 幹子 (財)相模中央化学研究所, 副主任研究員 (60192142)
野口 博司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60126141)
遠藤 泰之 東京大学, 薬学部, 助教授 (80126002)
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研究概要 |
様々な高選択的有機化学反応の鍵を握る活性錯体の各成分間の溶液中での相互作用を,^1H-NMRを中心とするスペクトル的手法により詳細に調べた結果,以下の新しい知見を得た。 1.膜電位変化を生起する活性錯体 カリックス[6]アレーンの疎水性ヘキサエステル誘導体を含むPVC担持液膜のドーパミン類に対する選択的な膜電位変化は,ゲストの芳香環部分がホストの内孔に取り込まれることによる非極性部分の立体構造の識別に基づくものであることを,^1H-NMR研究により明らかとした。 2.発癌プロモーター活性を生起する活性錯体 TPAタイプの発癌プロモーターであるテレオシジンの新規モデル化合物として,一連のインドラクタム類及びベンゾラクタム類を合成し,それらの溶液構造を^1H-NMRにより詳細に検討することにより,受容体タンパク質との錯体形成に関与する立体配座はtwist型に近いことを明らかにした。 3.チリウムエノラートに対する不斉反応を生起する活性錯体 ^6Li-及び^<15>N-NMRを用いた詳細な研究により,不斉脱プロトン化反応においてキラルリチウムアミドとLiClとの1:1mixed aggregateにより高選択性が生起されることを明らかにした。不斉Darzens反応における会合種の構造についても検討し,不斉誘起機構を解明するための基礎知見を得た。 4.触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応を生起する活性錯体 キラルなビナフチルリガンドBINAPを配位子とするPd錯体を用いた不斉Heck反応及び不斉アルドール反応について,高選択性を与える活性錯体の構造を^1H-及び^<31>P-NMRにより明らかとした。 5.生体類似の触媒的酸化反応を生起する活性錯体 Ruポルフィリン錯体による酸の存在下での2,6-二置換ピリジンN-オキシドを酸素源とした不活性アルカンや芳香族化合物に対する触媒的酸化反応の活性種の構造を、^1H-NMR等により示した。
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