研究概要 |
2年間の研究成果は次のようにまとめられる。 1)化繊の透湿防水布の農薬防除衣に比較して、綿素材に超撥水加工を施したそれは、高温環境下での歩行時の発汗量を減少させた。さらに、衣服内温度、衣服内湿度も低く、主観的申告もよかった。綿素材のほうも化繊のものと比較して、農感の湿透性が悪くなることもなかった。これらのことから、超撥水加工した線素材の防除衣を着用することにより生理的負担が改善されることが明らかになった。 2)室温30℃、湿度50%の人工気候室において、頸部および躯幹部上部に保冷具を用い、冷却した場合と冷却しない場合の二つの条件下で、自転車エルゴメーター(5.0W)による運動負荷を行い,局所発汗量、直腸温、鼓膜温、心拍数、衣服内温湿度および着用感について比較検討をおこなった。その結果、農薬散布用防除衣着用下において、保冷具使用により、発汗量は抑制され,生理的負担の軽減や着用感の改善につながった。 3)農薬散布用防除衣着用下において、長靴の素材の違いが人体の生理反応に及ぼす影響を検討するため、気温28℃、湿度50%の人工気候室で、3種類の長靴、すなわちゴム長靴(A,1440g),長靴脚部のみ高透湿防水布(ゴアテックス)を用いた長靴(B,750g)およびBに重りをつけAと同じ重量にした長靴Cの長靴を用意した。その結果、直腸温の上昇はB着用時、A着用時よりおさえられ、B,Cの間には差がなかった。また、長靴内の脚部大腿の皮膚温度はBのほうがAより低い値を示し、B,C間には差がなかった。 4)従来の化繊の防除衣よりも、今回開発した綿の防除衣は総合的に生理的負担を軽減させた。
|