| 研究概要 |
本研究では,現実の世界を投影した画像において,受け手の動きに適応した運動視差を再現する方法について研究を行った.これは,現実の世界の実写に基づく仮想現実感システム,すなわち,運動視差を再現できる立体テレビジョンシステムの実現に向けての基礎研究と言える.具体的には,コンピュータビジョンの技術を画像伝送に活用し,比較的少数のカメラで撮影した画像から多数のカメラでの撮影状況を仮想的に再現する方法,つまり3次元情報の獲得とそれを用いた画像生成方法を新しく提案した.また,高度の臨場感を与えることのできる3次元画像伝送方式を開発し,そのプロトタイプシステムを構築した.これらの研究成果の概要を以下に示す.
1.カメラマトリクス・ステレオ法による奥行き情報の獲得:カメラをマトリクス状に並べることによって得られた画像から奥行き情報を得るために,多眼ステレオ法の基本的原理,3次元画像の質を左右する物体の隠れ境界付近の精度の向上方法などを明らかにした.
2.受け手の動きに合わせた3次元画像の表示:受け手の動きに合わせて表示画像を変化させる方法について研究を行った.本研究では実際に表示系を構築し,受け手の頭の動きに同期して,ほぼ実時間で画像表示を切替えることを行い,高い臨場感などの効果を与えることを確認した.
3.顔画像を目的とした任意方向からの見え方画像の生成:詳細な3次元計測を行うことなしに,任意の方向から見た場合の顔画像を生成する方法を提案した.
4.3次元画像メディアのためのコンピュータビジョン技術:3次元画像メディアの構築に必要となる,3次元シーンの復元方法等の基本的な技術について新しい方法を提案した.
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