研究分担者 |
DUTTA Dushmanta 東京大学, 生産技術研究所, 助手
目黒 公郎 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40222343)
片山 恒雄 科学技術庁, 防災科学技術研究所, 所長 (70013216)
DUTTA Dushma 東京大学, 生産技術研究所, 助手
M.A.H Praman 東京大学, 生産技術研究所, 客員教授
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研究概要 |
本研究の目的は,RSとGIS技術を用いた水害危険度判定システムを構築することだった.結果として,物理則に基づく分布型水循環モデルを構築することができた.以下に構築したモデルについて概説する. 最初のモデルは,完全なる分布型水循環モデルで,1)降雨遮断,2)蒸発散,3)地表面水収支,4)Richards式を用いた2次元地中流,5)Kinematic wave modelを使った最急降下方向への地表流,6)Kinematic wave modelによる1次元河川流,7)Boussinesq式による地下水流,より構成されている.深層の地中流は,簡略化したプロセスモデルにより表わされる.もう一つのモデルは,圧力ベースの式の代わりに貯留ベースで支配方程式を置換したモデルで,SHU(Similar hydrologic units,水文過程ユニット)が速い操作モデル開発のために集中化されている.両モデルとも日本の流域に適用し検証を行ない良好な結果が得られた. 最近のコンピュータ計算能力の急速な発展により,より完全な分布型水循環モデルをその後構築することができ,最急降下地表流シミュレーションの代わりに,2次元dynamic wave equation,河川網の陰解法スキーム,リチャード方程式の3次元解法を用いた洪水モデルを用いる.このモデルは,フィリピン,タイなどの大流域の洪水予測に適用できることがわかった.また,都市域に適用可能な分布型水循環モデルに改良することにより,自然系だけでなく人工系の水循環も表現出来るようになった.この都市水循環モデルでは,洪水軽減策としてのオンサイト型雨水浸透システムの効果を流域規模で評価することが可能になった. 本研究で構築したモデルを適用する場合,土地被服情報の抽出ためにリモートセンシングデータの使用が必要不可欠となる.そこで分類手法の精度と感度についても研究を行なった.また,本研究によりGISデータを土地被覆情報の抽出,流域のDEMの導出,河川網の生成,土壌水理特性地図,地質情報を使った地下水帯水層モデルの開発,流域の降雨分布の導出そしてモデル適用結果の表現(水文情報地図)に活用できることがわかった.
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