研究概要 |
洪水流の空間的連続観測の意義について簡単にまとめた後,洪水流とともに流下しながらその内部機構を計測していくカプセルによる観測システムの利点を示した。ついで,これまでに骨格の作られてきている観測カプセルの構造と機能について詳細な再検討を行いその問題点を明らかにして改造の方針を立てた。その問題点は,計測カプセルの操作性の向上,安全な回収と位置の測定・制御方法の確立,観測カプセルに適した計測装置とデータ収録装置の開発の3点である。 まず,カプセルの操作性を向上させるために,バケット通信によるスッチング駆動に変えて,連続操作の可能なラジオコントロール装置を製作し,カプセルに装着してその効果を確かめた。ついで,高精度の位置検出のために簡易型ディファレンシャルGPS受信装置と高機能ノートパソコンを導入し,廉価であってもディファレンシャルGPS受信装置は洪水流の空間観測に十分な精度で位置検出できることを見出した。 つぎに,無線によるデータのリアルタイム収録に関しては,現有のPCM多重無線装置による移動体テレメータを試用しようとしたが、時間的制約のため,新たに設定した試用区間に対して,無線使用の許可を受けることができなかった。そこで,規制の少ない特定小電力無線を利用したリアルタイムデータ収録システムの採用について各種ボードを用意して検討したが,唯一制限されている継続通信時間の制約が強く,ラジオコントロールには適用可能であるとの結論となった。 現地として,河床高等の計測データのある加古川支川の地点を選び観測の準備も進めたが,そこで試用するには至らなかった。河床計測の手段については,河床と水温の測定にシリアル通信機能を持ったレジャー用魚群探知機を導入し,マイコンによるその制御とデータ収録のテストランを行い,十分な精度で測定可能である結果を得た。
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