研究概要 |
レーザー核融合プラズマ診断用の超高時間分解能の中性子検出器として,プラスチックカソード中での反跳陽子を利用したストリークカメラを製作し,その有用性を明らかにした。その特長・性能は以下の通りである。 1)プラスチック中での反跳陽子のエネルギー減衰過程に関するモンテカルロ輸送計算の結果に基づき,14MeV中性子による水素の微分散乱断面積ならびに反跳陽子エネルギーの角度分布を考慮して,中性子の検出効率を正確に求めた。検出効率はプロトンラディエーターの厚みの増大につれて単調に増加し,前方散乱陽子の飛程(2.2mm)以上の厚みで飽和する。この時の最大検出効率は,0.4%である。 2)プラスチックカソード中での中性子及び反跳陽子の飛行時間に起因する時間分解能の劣化は,プラスチックの厚さとともに増加するが約5psで飽和し,十分な高速応答性を有する。 3)カソードの有効口径は約25mmのストリークカメラを製作した。短パルス紫外レーザーを用いた掃引特性試験により,実用的な掃引速度26mm/ns(蛍光面上)における時間分解能は<12psである。 4)中性子ストリークカメラシステム全体の時間分解能は,カソードのサイズにも依存するが,スリット幅100〜300μmの場合14〜19psであり,レーザー核融合実験に十分適用可能な応答性能を有する。 5)本中性子ストリークカメラは,(3.5〜7)×10^9以上の中性子が発生するレーザー核融合実験に,良好な統計精度で適用可能である。
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