研究課題/領域番号 |
06558092
|
研究種目 |
試験研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物有機科学
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冨士 薫 京都大学, 化学研究所, 教授 (20027056)
|
研究分担者 |
武田 節夫 大鵬薬品工業(株), 化学療法剤研究所, 室長
田中 圭 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50093266)
|
研究期間 (年度) |
1994 – 1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 10,400千円)
1995年度: 4,100千円 (直接経費: 4,100千円)
1994年度: 6,300千円 (直接経費: 6,300千円)
|
キーワード | イチイ科植物 / タキソ-ル / タキソイド / 抗癌活性 / ジテルペン / 構造決定 / 2次元核磁気共鳴法 / 立体配座 |
研究概要 |
イチイ科植物から単離されるタキソ-ルは乳癌、卵巣癌等に対して強い抗腫瘍活性を持つことと作用機序の特異性の両面から今日最も注目されている天然由来の抗癌剤の一つで、1990年代の抗癌剤と称されている。本研究では新規タキソ-ル類似構造(タキソイド)を有する抗癌活性物質の開発を目的とし、各種中国産イチイ科植物につき成分研究を行ない、新骨格を持つリ-ド化合物の発見と活性物質への化学変換が可能なタキソイドの検索を行なった。Taxus chinensis, Taxus Yunnansis並びにTaxus chinensis ver. maireiからそれぞれタキソ-ルを含む既知ジテルペン16種と共に、20種以上の新ジテルペン化合物の単離に成功し、そのうち16種の新化合物の立体をも含めた構造解明に成功した。この精密構造解明には、2次元核磁気共鳴法が効果的で特に遠隔^<13>C-^1H COSY法(ROESY)により各種の置換基の結合位置を決定することができた。これらの新ジテルペンは従来型のタキソイド4種、6/8/6のタキソイド転位体といえる5/7/6系新骨格ジテルペン12種であった。後者の型のジテルペノイドの大部分は溶液中で室温下数種の立体配座の混合物として存在し、それらの詳細な溶液中での立体配座を明かにした。尚、その存在比はテルペンのB及びC環上の置換基の有無、種類、位置により種々変化する。新化合物のtubulinに対する活性については残念ながら現在のところタキソ-ルに匹敵する活性は認められていない。抗癌活性物質開発のための化学変換に必要な上記5/7/6型を含む化合物の量的確保と、それらへの抗癌活性に必須とされるC13位側鎖の導入、並びに活性試験を行なう予定である。また、活性配座解析と計算化学データに基づく人工設計タキソ-ル系抗癌剤の開発については現在なお進行中であり、今後継続していく予定である。
|