研究概要 |
タンパク質分解酵素(エンドペプチダーゼ)の基質特異性を系統的かつ網羅的に検索する簡便な方法を開発する目的で、樹脂結合ペプチドライブラリー(特定の1箇所のみランダムなアミノ酸残基からなるペプチド混合物)を基質として用い、分解産物をエドマン分解法によるアミノ酸配列分析により定量分析する新方法を考案し、その基礎的諸条件を検討し、有用性を示した。 1.ペプチド固定化用樹脂を種々検討し、アミノメチル樹脂が最適であることを示した。次いで、樹脂結合ペプチドの酵素による切断効率を検討し、ペプチドと樹脂の間に適当なスペーサーを挿入することにより、切断効率を少くとも30倍程度上昇させうることを明らかにし、当面ペンタブリシンをスペーサーとして用いることが適切であることを示した。 2.Fmoc法による樹脂結合ペプチドライブラリーの合成において、各ペプチドの合成収率の均一化条件を検討した。この結果、反応速度の遅いFmocアミノ酸を相対的に増量して用いることにより、各ペプチドの合成量比をほゞ3倍以内におさめることを可能とした。 3.本方法をα-キモトリプシンのサブサイト特異性の検索に適用し、その有用性を示した。すなわち、モデルペプチドライブラリーとして、RPXFSPR(G)_5-樹脂,Ac-RPGFXPR(G)_5-樹脂,Ac-RPGFSXR(G)_5-樹脂(Xはアミノ酸混合物)を合成し、α-キモトリプシンにより加水分解し、分解物をエドマン分解法により定量分析した。この結果、P_2,P_1′,P_2′サブサイトに関する特異性について興味ある新知見を得た。 5.上記研究と関連して、特異性未知の数種の新規エンドペプチダーゼを生体組織中より精製,性状解明し、特異性の予備的探索を種々のペプチドを用いて行った。
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