研究分担者 |
桜井 利之 日立電子エンジニアリング, 技術本部研究部, 技師
本圧 淳子 (本庄 淳子) 神戸大学, 理学部, 助手 (30229249)
北川 円 神戸大学, 理学部, 助手 (70169853)
馬場 知哉 神戸大学, 理学部, 助手 (00338196)
|
研究概要 |
DNAシーケンサーによる塩基配列決定の精度を向上させるために,ラムダファージDNAの種々の部位にトランスポゾンを挿入し,PCRと磁気ビーズを用いる方法(Kasai et al.,1992)により,多量の塩基配列の生データを収集し,解析した。ラムダファージDNAの全塩基配列はすでに既知なので,得られたデータについて各塩基の間の間隔(ピークの時間間隔)を測定し統計処理を行ない,3'末端から10,20および30塩基の配列中のそれぞれの塩基の含量と電気泳動時のピーク間隔との関連を調べ,塩基配列と電気泳動の易動度の特色に関するデータベースを構築し,それに基づいて,電気泳動データを塩基配列データに変換する,base-callerプログラムの変更を行い,従来のbase-callerに比較してどの程度の塩基配列決定の精度の向上が見られるかを解析した。さらに,これまでに得られている大腸菌の複製終結点付近の領域の多量の生データについて,この新しいbase-callerを用いての解析を進めるとともに,多数のデータの中からストップやコンプレッションのある塩基配列データを選び出し,確立した新しい方法で塩基配列決定を試み,その精度を検討した。その結果,配列精度については実験データによってかなりのふれはあるものの,従来のbase-callerに比較して塩基配列決定の精度の向上が見られ,300塩基までの配列決定では97-100%,また400塩基までの配列決定についても94-98%の精度で決定できるようになった。ただし,400塩基以上については必ずしも配列決定の精度の向上は見られず,試料やゲルの調整などに大きく依存することがわかった。実際のゲノム解析プロジェクトにこの方法を応用したときの評価も通常400塩基まで程度が限界であり,これ以上の精度の向上はゲル担体など,他の改良に依存することがわかった。
|