研究課題/領域番号 |
06558122
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研究種目 |
試験研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
石原 一彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (90193341)
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研究分担者 |
山下 康彦 旭化成工業(株), 繊維技術開発総部・HF技術事業部, 部長
秋沢 忠男 昭和大学, 医学部・藤が丘病院腎臓内科, 助教授 (40102339)
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
田中 志信 山形大学, 工学部, 助教授 (40242218)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
4,400千円 (直接経費: 4,400千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1994年度: 3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
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キーワード | 血液透析膜 / 血液適合性 / 抗血栓性 / リン脂質ポリマー / 血小板粘着 / タンパク質吸着 / 補体活性化 / 人工腎臓 / 血液透析 / 補体活性 / 表面修飾 |
研究概要 |
血液透析膜には優れた力学的特性と、物質透過性さらには血液適合性が要求される。セルロース膜は力学的特性と物質透過性を満足するという観点から、利用されてきたが血液適合性に問題があるために、治療時にはヘパリンなどの抗血液凝固剤の使用が不可欠である。セルロース膜の優れた性質を生かしつつ、表面の血液適合性を改善することを目的として、リン脂質極性基を有するモノマー、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)をセルロース膜に直接グラフト重合した。その結果、著しい血小板粘着と補体活性化の抑制効果が発現することを見いだした。MPCポリマーによるセルロース膜の表面修飾をより簡便かつ効果的に行うためにMPCをグラフト化した水溶性メチルセルロースを合成し、水を単一溶媒とした系での被覆を行った。メチルセルロースに水中にてMPCをグラフト化した。グラフトポリマーを含む水溶液中にセルロース膜に浸漬した後、乾燥した。この膜に血液を一定時間接触させた後、表面を観察した。さらに膜に接触した際の補体の消費率を測定した。グラフトポリマーで処理した膜の表面をESCAにて分析すると、表面が修飾されていることが明かとなった。一方、修飾膜からのグラフトポリマーの溶離はほとんど認められない。血液を通過させた後の未処理のセルロース膜では多くの血小板が粘着し、活性化、凝集しているが、グラフトポリマーで処理すると血小板の粘着が全く認められなかった。すなわちMPC鎖の効果により細胞の粘着及び活性化が抑制されることがわかった。さらに補体の消費率は未処理膜で50%程度であったが、処理膜では15%程度となり、顕著に補体の活性化を抑制していた。以上のことより、MPCグラフト化メチルセルロースは、セルロース膜の血液適合性を改善できる有望な素材であることがわかった。
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