研究概要 |
13世紀から17世紀までの西欧における中国哲学の受容の研究を行なったが、とくに中心となったのはロジャーベ-コンの哲学と東洋思想との関係であった。経験の哲学を説き、近代科学の哲学的先蹤となったベ-コンが、実は当時としては最新の東洋情報を知りうる立場にあり、そうして得た知見を彼の経験の哲学の論拠として大きく活用し、さらには東洋の思想の客観的合理性を称揚していることを明らかにできた。そのほかプラノカルピニからダ・クルス,デ・ラ-ダ,メンド-サまで、中国思想を西欧に紹介した人々の解釈の分析をおこなった。以上のことは、一部、科研費補助を受ける以前より下準備していたところもあり、この補助金によってそれらを原稿の形にすることを推進した。その結果11月ごろまでに完成した原稿については、平成7年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を申請し、この補助金が許可されれば学術図書として刊行する予定である。
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