研究課題/領域番号 |
06610048
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
加藤 浩 岡山大学, 文学部, 助教授 (00204488)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1994年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | スカリゲル / 詩学 / 美学 / ルネサンス / キケロ / 弁論術 / プラトン / アリストテレス / ホラティウス / ポラティウス / ワインティリアヌス |
研究概要 |
本研究は、ユリウス・カエサル・スカリゲル『詩学七巻』(1561年)を美学史的視点から考察することを目的とした。『詩学七巻』はスカリゲルの死後三年経ってから初めて刊行されたという事情もあって、テクスト間に数多くの異同が認められ、研究のためには文献学的基礎準備が不可欠である。報告者は専ら初版本に依拠して研究を進めて来たが、こうした困難を痛感し、本研究においては原典テクストの文献学的基礎研究に多くの時間を費やした。折しも、1994年よりドイツにおいて、原典批判に基づくドイツ語対訳が刊行され始めた。(Julius Caesar Scaliger Poetices libri septem Sieben Bucher uber die Dichtkunst Unter Mitwirkung von Manfred Fuhrmann herausgegeben von Luc Deitz und Gregor Vogt-Spira,Stuttgart-Bad Cannstatt.5分冊のうち第3分冊まで刊行。)これは、スカリゲル研究、ひいてはルネサンス期の詩学研究が、ようやく一次資料に基づき、本格化してきたことを如実に物語る出来事であると言えよう。報告者も、この新しい成果に立脚し、従来の一元的研究姿勢に変更を加え、さらに、既に公表している『詩学七巻』の日本語訳を訂正することができた。ただし、報告書にも記したように、Deitzの解題や校訂に全面的に賛同しているわけではなく、報告者としてはスカリゲルにおける古典古代受容の問題が改めて問われねばならないとの意識を強くした。研究期間中はテキスト・クリティークに重点を置いたため、個別的部分の日本語訳は公表しなかったが、これからの研究を鳥瞰する意図を込めて、全目次の対訳を報告書に掲載することができた。今後は、これまでの文献学的成果を基礎に据え、古典詩学の歴史の中に『詩学七巻』を正しく位置付け、よってその美学史的意義を解明したい。
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