研究課題/領域番号 |
06610137
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育・社会系心理学
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研究機関 | 愛知みずほ大学 |
研究代表者 |
安念 保昌 愛知みずほ大学, 人間科学部, 助教授 (40183735)
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研究分担者 |
斉藤 真 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (70178482)
白石 秀人 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (00179037)
吉田 富二雄 筑波大学, 心理学系, 助教授 (80182781)
森 省二 愛知みずほ大学, 人間科学部, 教授 (90106237)
加藤 象二郎 愛知みずほ大学, 人間科学部, 教授 (00257734)
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研究期間 (年度) |
1994
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研究課題ステータス |
完了 (1994年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1994年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ネットワーク / 感情表出 / 攻撃性 / 仮想社会 / 自己開示 / マルメディア |
研究概要 |
目的 現代社会においては、親密な地域共同体は崩壊し、人間関係は、匿名的なネットワークシステムでしか成立しなくなって来ている。そして、従来の狭く親密な共同体的社会とは異なり、多層的に開かれた無機質な社会を構成するようになってきた。 そうした中で、人が心を開きはじめるのはどういう時なのであろうか?また、人はどのような状況が成り立つとコミュニケーションを始めるのだろうか。 方法 装置 パソコンMacintosh LCll54台、Macintosh llSi1台、サーバー(Macintosh Quadra700)2台をイーサネットで結んだ。このシステムは、24時間アクセス可能であった。 手続き 大学生200人を対象に、授業の一環として約2ケ月間にわたってパソコンの使い方を教え、一通りハイパーカードが使えるようになった時点で、学生に匿名による実験参加を呼び掛けた。コンピュータのネットワークの中に自由に使える空間があり、そこには現実と仮想の世界があって、現実の世界では、身近な話題やテーマを話してもらい、空想の世界では、そこで自分の島を持っていろいろな島民との交流をしてみないかと誘いをかけた。 現実社会でのテーマは50個のテーマに関するボードが作られた。仮想社会の空間を、『サイコ諸島』と呼び、そこで、自由に島を作り、そこの島民になりきって受け入れの空間を作り、入ってきた人とのコミュニケーションをハイパーカードスタックを通じて行なうよう伝えた。実際には、50個あまりの島々が作られた。 分析 コミュニケーション情報の流れの構造をグラフ理論的に比較する。ドラマ性の比較。社会性の比較。社会地図がドラマ性にどのようにかかわっているか。テーマの主導性が、そのドラマトゥルギーに反してあるいは則して入ってきた侵入者に対してとった展開の比較を行った。 結果と考察 感情の交流が起こった事例は、現実、仮想の社会とも、非常に少なかったが、その中でも、非常に攻撃的感情が起こる場合が目立った。攻撃性を引き起こさせたのは、仮想の社会においては、自分の島にそのドラマ性を無視した書き込みがあった場合であり、その所有者はその島を消滅させ、サイコ諸島の現実の管理人に怒りを直接あらわにした。現実の社会の場合では、相手が自己開示した内容を茶化す場面、双方の自己開示のレベルの違いで攻撃性が現れた。 どちらも、独り言的な一方方向的に宣言するタイプの書き込みが多かった。現実社会の場合、様々な情報の提供があるが、ここでは、コミュニケーションは全く起こっていない。噂と、落書きノートには、独り言ではあるが、自己の問題をさらけ出している事例が、3例見出された。それに対する、低レベルの誹謗で、一転攻撃的な言葉が目立つようになる。仮想の世界よりも、現実の世界における方が、自己開示する傾向が強いことが分かった。これは、どちらの世界でも、匿名性が保証されているため、現実の社会のテーマの中で、自己の問題を率直に述べられたということ。また仮想の世界では、物語を構築するのに時間がかかり、簡単には、自分を開くことができなかったためと、考えられる。
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