本研究は、視覚障害者のキ-タイピング動作の特徴を明らかにし、コミュニケ-シュン手段の一つとして、確固たる位置を築き上げつつある、コンピュータやワードプロセッサの利用をより正確にかつ迅速に行えることを目指したものである。 1.実験機器のセットアップ、プログラムの開発 測定機器は、本助成金で購入した位置センサーと、従来よりあるパーソナルコンピュータを接続することで利用可能となった。しかし、測定機器コントロール用のソフトウェアは自己開発となり、二ヶ月程度の日時を要した。命令送信、データ受信のタイミングに問題があったが、実験時には、十分な能力を発揮できる程度のソフトウェアとなった。 2.晴眼者における予備実験、特徴抽出 晴眼者における実験は、システム全体の検討、晴眼者のキ-タイピングの特徴の抽出のために行った。実験システムに問題はなく、計画通りに行った。実験課題は、アルファベットのaからzまでを順にタイピングするもので、計測対象は、タイピング中の両手親指の動揺とした。時間経過に伴う、親指の位置の変化が見られた。また、動揺の大きさに左右差が見られた。 3.視覚障害者における実験、解析 視覚障害者においても、晴眼者と同様な変化が見られた。しかし、親指の動揺の量に個体差はかなりあった。今回は、計測が比較的容易な親指を対象としたが、今後、他の指の動きの検討や、訓練機関等との関係を更に詳しく、行う予定である。
|