研究概要 |
平成6年,7年,8年の3年間にわたって,環境問題とマスメディアに関する意識調査を実施し、また新聞報道の内容分析を行なった。平成6年度は,板橋区在住の成人男女1500名(有効回収760名)を対象として,平成7年度は東京都23区在住の成人男女900名(有効回収587名)を対象として、平成8年度は首都圏30km圏内在住の16〜74才男女1920名(有効回収875名)を対象として,意識調査を実施した。調査の結果,(1)環境問題への関心度は引き続き高い水準を維持していること,(2)地球環境問題への関心の強さや,環境主義的な態度は,ふだんの新聞接触度と正の相関を示すが,テレビ視聴時間との間には,弱いながら負の関連がある,などの知見が得られた。以上のことから,マスメディアは地球環境問題に関する人その意識にかなり大きな影響を及ぼしていることがある程度実証されたと考えられる。 平成6年度,7年度には、新聞の環境問題関連記事の詳しい内容分析を行ない,マスメディアの議題設定効果仮説やフレーシング効果仮説の検証を行なった。その結果,(1)地球温暖化問題に関して強い議題設定効果がみられた,(2)環境問題の原因や責任帰属に関して人々がもつ認識と,マスメディアの環境報道においてみられるフレーム(パースペクティブ,報道の視点)との間にはズレがあり,フレーシング効果は明確には認められなかった。 3年間にわたる調査研究を通じて,地球環境問題をめぐる意識,行動とマスコミ報道との関連について,数多くの貴重な実証的研究知見が得られた。今後は調査の範囲を全国に拡大するなど,さらに研究を維持・発展させたいと考えている。
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