研究概要 |
学歴社会から資格社会へと現代社会が変化してきた背景には,大学教育の画一化や大衆化が指摘されている。本研究は,1,200種類以上の国家資格から保健医療社会福祉,法律・行政・公認会計士,建築・不動産,技術士・情報処理技術者,その他48種類の資格を対象に,伝統的プロフェッションと呼ばれていた医師と弁護士を理念型としたプロフェッションの概念枠組(専門的知識・技術,公益性,社会的評価から構成)を作成し,プロフェッション性のスコアを数量的に算出し,考察した。資料の収集方法は各資格の職能団体に直接電話し,調査票を基に情報を収集した。 調査の結果から幾つかの結論が得られた。第一に,調査対象となった国家資格全体からプロフェッション性をみると,伝統的プロフェッションである弁護士や医師,そして司法書士,税理士,公認会計士,社会保険労務士,一級建築士に高い評価がみられた。そして新しく作られた情報処理技術者等の資格に低い評価が示唆された。第二に,「専門的知識・技術」,「公益性」,「社会的評価」のプロフェッション性を個別的に考察すると,「専門的知識・技術」は一級建築士に最も高い評価がみられた。次いで社会福祉士,弁護士,司法書士であった。「公益性」と「社会的評価」は医師や弁護士等に高い評価がみられ,情報処理技術者に低い評価が共通してみとめられた。
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