教員・校長の免許資格構造の考察(歴史的および今日的方向) 各州における教員・校長の免許資格要件、特に専門養成内容(修士等の学位所得の有無、所得単位と履修内容の関連)、能力試験(Competency Testing)実施の有無とその内容、初任者研修(Beginning Teacher Inservise Education)と免許資格の対応関係、州間免許状の互換性(Reciprocity)の実態、教員免許資格と校長免許資格の相互関連性についての分析を行った。 主要の知見は次の通りである。(日本教育行政学会で-94年10月1日、日本教育制度学会で-94年10月30日発表) (1)アメリカでは「終身免許状」の発行それ自体については1920年代までに批判はみられない。むしろ当時は、教職に就いたあと、十分な職能成長を遂げた者には与えられるべきとの考え方が強かった。しかし1930年代以降には終身免許状発行に対する論議が高まっていった。今日までの傾向としては、終身免許状を発行することなく、数種類の等級別・有効期限付免許状を教職経験とともに一定の単位あるいは修士号所得等により、更新・上進させる傾向が強まった。 (2)1940年代以降、「臨時免許状」が漸次大量に発行されることになったが、この発行は各州の免許基準を相対的に引き下げたかどうか判定することは困難とも考えられた。しかし通常臨免所有者は大学教育を修了しており、この結果普通免許状の資格がないことは、不十分な養成教育の問題ではなく、むしろ州免許状に固有する特定要件の一部分を満たすことができないことに帰するのであった。 (3)「州間免許状の互換性」は歴史的に進展しており、明白な制限的要件は今日みられない。
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