研究概要 |
本研究では、学校週5日制のもとでの家庭・学校・地域社会の教育連携に関する保護者の意識を調査(1994年度)し,1984年度の調査結果と比較考察して,10年の時間経過による地域の変化を踏まえ,家庭・学校・地域社会の教育連携に関する保護者の意識の変化を実証的に考察した。得られた知見を要約すると以下の通りである。 1.調査対象校では地域性を踏まえた連携に対する経営方針が立てられているが,10年の時間経過によってより低下した家庭及び家庭教育の状況や地域社会の教育力の状況の変化に,学校からの家庭への働きかけとしてコミュニケーションの場をより多くもつことが期待されている。2.学校週5日制に関する保護者の意識について,実施形態に対する積極的な意見の者が約4割で,休業日の第2土曜日の家庭や子どもの様子などが5日制廃止を考える者により否定的に捉えられている。3.家庭・学校・地域社会の教育連携にあたって,家庭の領域では,基本的生活習慣や健康安全などの学校教育を受けるまでに不可欠な行動特性の育成や親子の信頼や触れ合いを持つ必要が考えられている。4.学校の領域では,学習の量や程度とも現状程度に知育を行い学校の集団的な性格による行動特性の育成への役割分担や子どもとの触れ合いや相互信頼による教育活動の推進への期待が大きい。5.地域社会の領域では,家庭や学校において学んだ知識や技術を基礎として,社会において発揮される他者との関わりが強調される行動特性の育成への役割分担や地域の人びとの連帯感や責任ある生き方を求めることへの期待が大きい。 以上のような意識に基づき,学校週5日制における家庭・学校・地域社会の教育連携の推進方策に関して,開放的なコミュニケーションを基調とする家庭と学校の連携や,地域住民という人的資源の活用による地域社会の教育力の活性化をめぐって教育経営への示唆を明らかにした。
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