平成6年度、7年度の「環境対話キャンプ」を通して明らかにされつつある学習障害児援助法、「環境対話法」の骨子は下記のとおりである。学習障害の基本的な考え方を「学習の非効率性」に求める立場から、方法論を「効率的な学習」の援助に置いた。学習を効率的に起こす環境とのかかわり方を「環境対話」のコンセプトでとらえている。 こうした観点をふまえ、環境対話法を「身体運動を基点とした環境対話により、学習を意図的・計画的・効率的・安全に引き起こし、心身の発達を促進させる教育臨床的手法」と定義するにいたった。具体的なプログラムとしては、(1)認知・言語(2)リトミック(3)教科指導(4)グループワーク(5)生活指導などであったが、指導者(当キャンプではトレーナーと称す)の理論面でのレクチャーにとどまらず、実際場面を想定したことば、表情、四肢の動きのトレーニングプログラムを事前にセットしたことも有効であった。とくに後者のプログラムでは、学習障害児を引き付け、ていねいでわかりやすい反面、余計な情報をカットした指示・説明の仕方を繰り返しリハーサルした。ある意味では「教育は人」論に立ち戻る立場である。 (1)からだのイメージを高める身体運動、(2)整理・整頓・分類(元の状態に戻す)、(3)必要な・望ましい環境刺激は強調し、不必要な・望ましくない環境刺激は除去する(4)自分の利益、他人の利益、共有する利益を区別させる、(5)"与える側"と"もらう側"の立場を区別させる、(6)社会・組織で生活するための手順・手続きをパターン化して教える、などの因子が明確になってきた。
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