研究概要 |
本研究によって収集された蝦夷関係史料からのアイヌの芸能に関する記録の複写は2,500点に及んでいる。これらの資料から幕藩体制下におけるアイヌ芸能の変化の過程が明らかになってきている。幕吏、藩士との正式な会見(ヲムシヤ、ウイマム)においてほぼ儀式の一部として男性による“槌打ち"や女性による“鶴の舞"が演ぜられた等の和人とアイヌの公式の関係や、運上屋や漁場等での日常生活においてアイヌによって和人の都々逸が歌われ、踊りの仕草が真似られていた等の記録から、アイヌの社会の変化、文化変容の具体的状況が明らかになったが、さらにこれらの記録を現在の伝承と対応させ、比較するための方法として、アイヌの芸能の各項目を時代的、地域的分布を織り込んだアイヌの芸能の図像記録とそれに対応すると判断される歌や楽器の録音資料による解説付のCDを本研究の成果として出版する。
|