本調査研究では、西アフリカの諸王国における王権の標章に関して、サバンナ地帯(モシ、マンプルシ、ダゴンバ)、森林地帯(ゴンジャ、ジャマン、ベニン、ヨルバ)、ギニア湾沿岸部(エウェ、ガ-、アカン語群)の諸王国の事例をとりあげ、特に、アシャンティ王国の事例を中心として、その図像学的な意味と歴史表像の比較研究を行った。特に、西アフリカの諸王国にみられる「王の椅子と肖像」「太鼓」「傘」「杖」「剣」「布と衣装」「サンダル」などの物質分化をとりあげることによって、王の名称を指示するもの、動物と植物の民族分類と寓意的表現、文字の神秘性(絵文字や呪文)などの王権、図像、歴史表像に関する比較研究を行った。また、本調査研究では、西アフリカの諸王国における王権の標章に関して、HRAFが開発した『文化項目分類』(Outline of Cultural Materials)及び『地域・民族分類』(Outline of World Cultures)に従って関係資料の図版を作成するとともに、関係資料のデータベース化を行った。 この研究成果は、第31回日本アフリカ学会学術大会(神戸学院大学)及び日本民族学会第28回研究大会(東北大学)において学会発表を行った。また、来年度の第32回日本アフリカ学会学術大会(日本福祉大学)及び日本民族学会第29回研究大会(大阪大学)において学会発表を行う予定である。
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