研究課題/領域番号 |
06610339
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
目黒 克彦 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (60024072)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1995年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1994年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | インドアヘン / 税厘併微 / 煙台条約 / ロバート・ハート / D.キャンベル / 曽紀沢 / 澳門 / 香港 / 税厘併徴 / 煙台条約続増専条 / 中葡修好通商条約 / D・キャンベル / 洋薬 |
研究概要 |
近代中国の鴉片問題の解決を究極の目標としつつ、当面の財政困難打開策として、輸入鴉片に対する関税と厘金を増額し、輸入時の海関における関税・厘金の同時徴収による税収増加を図る「税厘併徴」は、その対英交渉の過程で、鴉片貿易を独占的に扱う請負会社設立構想が、中英双方から検討され、馬建忠のインド派遣による調査と打診が為され、その中でインドの鴉片輸出の逓減策も協議された。又清朝政府はイギリスの対抗勢力となりつつあったアメリカと鴉片貿易禁止条約を締結し、さらにロシアとの間でも同様の協定を結ぶ事により、イギリスの鴉片貿易に固執する姿勢を独立化させる政策を進めていた事、これを更に拡充させようとする意図を持っていた事を明らかにした。これは中国が鴉片禁止政策を全く放棄した訳では無い事を意味する。しかし他方で中国海関総税務司口パート・ハートの権限拡大を図る狙いも有り、当面の財政難の解決を最優先課題とし、総税務司の下での増税策が現実には採用され、清朝政府には一定の税収の増加をもたらしたが、鴉片輸入の漸減は20世紀以降に持ち越される事となる。この「税厘併微」策実施の為、ポルトガルとの間の修好通商条約の締結交渉も、清朝政府の主導の下ではなく、ハート及び彼の部下のキャンベルによって進められた。ここには母国イギリスの政策が反映され、中国がポルトガルに洟門を事実上譲与する事を認めたのも、洟門の地理的な位置から、列強の争奪の的となる地域をイギリスの影響の及ぼし得るポルトガルに管理させる事により、フランス等の進出を抑えるという戦略的な狙いが存在していた。事は単に鴉片貿易の合理的な管理と密輸・脱税の抑止の為に、ポルトガルの洟門管理を認めたという事だけでなく、東アジアにおける列強間の勢力抗争の一環を構成する問題であった事を明らかにした。
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